Q.

【仕組み】同じエアゾール製品でも、振って使うもの、振ってはいけないものがあるのはなぜ?


A.

エアゾール製品には、その製品の特長に応じて、使用前に『振る』、『振らない』や使用時に『頭部を上にして使う』などの注意表示がされています。

振る・振らないの表示について

  •  使う前に振るように表示されているもの
下図のように
  1.  噴射剤が原液に溶解しないで、3相に分離しているもの
  2. 原液が乳化系の製品であるもの
  3. 粉末が配合されたもの、
などは、使用する前に良く振って内容液を均一にする必要があります。

1.缶の下方から原液、噴射剤(液相)、噴射剤(ガス相)に分離している3相系製品、2.噴射剤が分散した原液と噴射剤(ガス相)に分離したO/W型の乳化系製品、3.粉末、噴射剤(液相)、噴射剤(ガス相)に分離した懸濁系製品のイメージイラスト

  • 使う前に振らないように表示してあるもの
使用されている噴射剤がエアゾール容器内で液化しない圧縮ガス(窒素、炭酸ガスなど)の場合で、かつ使う前に振るとガスが原液に溶解または分散し、使いつづけるとガス量が不足するおそれのある場合は、振らないで使用する必要があります。(LPGなどの液化ガスに比べると噴射剤量が非常に少ないため、このような現象がおこる)

缶の下方に原液、上は噴射剤(圧縮ガス)に分かれたエアゾール製品のイメージイラスト


  •  振る、振らないの表示のないもの
原液が噴射剤をよく溶解し、内容は原液と液化ガスが溶解した液相とガス相にわかれている場合(原液がエタノールで噴射剤がLPGやDMEなどの液化ガスの場合が多い)は振る、振らないに関係なく使用できます。

缶の下方に噴射剤が溶解した原液、上は噴射剤(ガス相)に分かれているエアゾール製品のイメージイラスト


頭部を上、下の表示について

  • 頭部を上にして使うもの
エアゾール製品の容器内に装着されたディップチューブを通って、内容液が外部に噴射されるタイプで、頭部が下向きになると、ディップチューブの開口部がガス相になり、ガスのみ出てしまい、使用できなくなります。

缶の頭部が上向きのため、ディップチューブの開口部が缶底部の原液にあるよい例と、頭部が下向きのためディップチューブの開口部が缶底部のガス相になり、ガスだけが出てしまうよくない例のイメージイラスト

  • 頭部を下にして使うもの
ディップチューブがないもので、頭部を上にして使うと、ガスのみ出てしまうため、頭部を下向きにして使う必要があります。

缶の頭部が下向きのため、缶の下部にガス相があるよい例と、頭部が上向きのためガス相が缶上部にきて、ガスだけが出てしまうよくない例のイメージイラスト


  • 使うときのポジションの表示がないもの
比較的、噴射剤量の多い製品で、ディップチューブを通って内容液が外部に噴射されるとき、エアゾール容器内の頭部につけられたバルブの横にも孔が開いており、ここからもガスのみが噴射されるタイプのものです。これはべーパータップ機構とよばれ、本来ディップチューブからの液相とべーパータップからのガスをバルブ内で混合し噴射粒子を細かくする目的のものですが、このタイプのエアゾール製品は正立、倒立両方で使用可能です。


缶の頭部付近のバルブの横に孔があるペーパータップとよばれる機構のあるエアゾール製品のイメージイラスト

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